企業で起こり得るリスクと管理・対応とは
「システムが使えない」「顧客に誤ったメールを送ってしまった」「重要な書類を紛失した」「社員からトラブルの報告があった」など、企業では日々さまざまなインシデントが発生します。
こうしたインシデントが発生したとき、重要なのは「その場を乗り切る」ことだけではありません。
誰が対応しているのか、現在どこまで対応が進んでいるのか、何が原因だったのか、今後同じことを起こさないためには何を変えるべきなのかまで整理しておく必要があります。
しかし、実際の現場では、
- 担当者によって対応方法が違う
- メールやチャットに情報が分散している
- 対応状況が把握できない
- 原因調査が十分に行われないまま復旧してしまう
- 再発防止策を決めても、その後の進捗を管理できない
といった問題が起こりがちです。
そこで重要になるのが「インシデント管理」です。
現在企業にとって大きな脅威となっている事例を紹介したうえで、インシデントが起きた際の対応、原因の整理、改善、再発防止までの考え方を解説します。
インシデント管理とは?
インシデント管理とは、発生したトラブルや事故について、状況を把握し、対応し、できるだけ早く通常の状態に戻すための一連の管理です。
ITサービス管理の領域では、インシデントを記録し、分類・優先順位付けを行い、担当者への割り当て、エスカレーション、解決、クローズまでを管理する考え方が一般的です。
ただし、企業におけるインシデントは、IT部門だけで発生するものではありません。
- 情報システム:システム障害、不正アクセス、アカウントの不正利用
- 総務:重要書類の紛失、設備トラブル、事故
- 人事:個人情報の誤送信、労務上のトラブル
- 営業:顧客への誤案内、契約関連のミス
- 経理:誤送金、請求ミス
- カスタマーサポート:顧客情報の誤登録、対応漏れ
なども、企業活動に影響を与えるインシデントとして管理対象になります。つまりインシデント管理で重要なのは、「どの部署が担当するか」だけではありません。
何が起きたのか、どの程度の影響があるのか、誰が対応し、いつまでに何をするのかを組織として把握できる状態をつくることが重要なのです。
現在企業にとって大きなリスクとなっている「ランサムウェア」
現在、企業が備えるべきインシデントの一つとして特に注意したいのが、ランサムウェアによる被害です。
IPAが2026年1月に公表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向けの脅威として「ランサム攻撃による被害」が1位となっています。これは11年連続11回目の選出です。
ランサムウェアは、単にパソコンのファイルが使えなくなるだけの問題ではありません。
現在の侵入型ランサムウェアでは、システムやデータを暗号化するだけでなく、攻撃者が情報を窃取し、その情報を公開すると脅して金銭を要求する「二重脅迫」につながるケースがあります。IPAも、こうした攻撃では情報システム部門だけでなく、事業部門や経営者にも緊急性の高い判断が求められるとしています。
実際に企業で発生した事例
2025年9月には、アサヒグループホールディングスでランサムウェアによるシステム障害が発生しました。
同社の公表によると、2025年9月29日にシステム障害が発生し、暗号化されたファイルを確認。その後、被害拡大を防ぐためネットワークを遮断し、データセンターを隔離しました。
調査の結果、外部の攻撃者がグループ内拠点のネットワーク機器を経由して侵入し、管理者権限を奪取したうえで内部を探索し、複数のサーバーなどに侵入したとされています。9月29日にはランサムウェアが実行され、複数のサーバーや一部のPC端末のデータが暗号化されました。
この影響はシステムだけにとどまりませんでした。
国内グループ各社の受注・出荷業務やコールセンター業務が停止し、同社は一部の業務を手作業に切り替えながら復旧を進めました。
さらに調査の過程で情報流出も確認され、同社は個人情報保護委員会への報告や対象者への通知などを実施しています。2026年2月の同社発表では、2025年11月26日時点で漏えいのおそれがある個人情報として約152.5万件が示されています。
この事例から分かるのは、一つのインシデントが、情報システムだけではなく、営業、物流、顧客対応、経理、経営判断など、会社全体に波及する可能性があるということです。
だからこそ、インシデント管理は特定の担当者だけに任せるのではなく、組織全体で対応できる仕組みにしておくことが重要になります。
数百万人規模から、身近なメール誤送信まで
2026年に公表された企業・団体の情報漏えい事例を見ると、その規模は決して小さくありません。
数百万人分の個人情報が漏えいした可能性がある事例や5万件を超える個人情報の漏えいが確認された事例、1万5,000件を超える会員情報が、メールの誤送信によって漏えいした事例。さらに、外部サービスへの不正アクセスによって、2,000万件を超える利用者関連データが流出したと公表された事例もあります。
これらはすべて、企業や団体が2026年に公表した実際のインシデント事例です。しかし注目したいのは、こうしたインシデントの原因が一つではないことです。
不正アクセスやランサムウェアといったサイバー攻撃だけでなく、メールの誤送信、システムやサービスの設定、業務委託先での事故、従業員による情報の持ち出しなど、日常業務のさまざまな場面にリスクが存在します。
「うちは大企業ではないから関係ない」
「重要な情報はシステム部門が管理しているから大丈夫」
とは言い切れません。
顧客情報、従業員情報、取引先情報、営業資料、契約書など、企業活動で扱う情報がある限り、どの部署でもインシデントが発生する可能性があります。
だからこそ重要なのが、インシデントが起きた後の対応だけではなく、発生した事象を記録し、対応状況や原因、再発防止策まで一貫して管理する仕組みです。
インシデントが起きたら、まず何をする?
インシデント発生時に最も避けたいのが、「誰かが何とかしているだろう」という状態です。
IPAが示すインシデント対応の基本的な流れは、検知、報告、封じ込め、復旧です。被害の拡大を防ぐため、影響分析や対応優先度の判断を行い、必要に応じてシステム停止やネットワーク遮断などの暫定対応を実施します。
現場では、次のように整理すると分かりやすくなります。
1.何が起きたのかを記録する
まずは事実を記録するところから始めます。
- 発生日時
- 発見日時
- 発見者
- 発生した場所・システム
- 発生している事象
- 現在確認できている影響
- 関係する部署・顧客
- 実施した対応
- 今後必要な対応
この段階では「誰が悪かったのか」を追及するより、何が起きているのかを正確に把握することを優先します。
2.影響範囲と優先順位を判断する
すべてのインシデントを同じ優先度で扱う必要はありません。
例えば、「社員1名のPCで軽微なトラブルが発生した」場合と、「全社員が利用する基幹システムが停止した」場合では、必要な対応体制が大きく異なります。
- 影響を受ける人数
- 顧客への影響
- 業務停止の有無
- 個人情報・機密情報への影響
- 金銭的な影響
- 法令・契約上の対応の必要性
- 復旧までに必要な時間
などを基準に、優先順位を設定します。
3.担当者と期限を決める
「情シスで対応する」「総務に確認する」だけでは不十分です。
| 対応内容 | 担当 | 期限 |
|---|---|---|
| 影響範囲の確認 | 情報システム | 本日17時 |
| 顧客への影響確認 | 営業 | 本日15時 |
| 個人情報の有無を確認 | 総務・法務 | 本日中 |
| 経営層への報告 | 管理責任者 | 1時間以内 |
| 復旧方針の決定 | 情報システム・経営層 | 本日中 |
のように、具体的な担当者と期限まで決めます。
インシデント対応では、情報が共有されていても「次に誰が何をするのか」が決まっていなければ、対応が止まってしまいます。
インシデント管理で重要なのは「原因」と「事象」を分けること
インシデントが解決すると、「復旧したから終了」と考えてしまうことがあります。
しかし、再発防止まで考えるのであれば、起きた事象と、その原因を分けて整理することが重要です。
「社員が誤ったファイルを顧客に送信した」
というインシデントがあったとします。
ここで、
「社員が確認を怠った」
だけを原因としてしまうと、再発防止策が「社員に注意する」「ダブルチェックを徹底する」で終わってしまいます。
しかし、もう一段掘り下げると、
- ファイル名が似ていた
- 顧客ごとに保存場所が異なっていた
- 送信前に宛先・添付ファイルを確認する仕組みがなかった
- 急ぎの依頼が多かった
- ダブルチェックの担当者が明確ではなかった
など、複数の要因が見えてくるかもしれません。つまり、「人がミスをした」だけではなく、「なぜミスが起きやすい業務環境だったのか」まで考えることが改善につながります。
改善するときは「人」ではなく「仕組み」に目を向ける
インシデントが発生したとき、最も簡単なのは「担当者に注意する」ことです。もちろん教育や注意喚起が必要なケースもあります。
しかし、同じようなミスが何度も発生しているなら、個人の注意力だけに頼る方法には限界があります。改善を考えるときは、次の4つの視点で業務を見直してみましょう。
① なくせないか
そもそも、その作業自体が必要なのかを確認します。複数のExcelに同じ情報を入力しているのであれば、入力そのものをなくせないか検討します。
② 減らせないか
完全になくせなくても、作業回数を減らせないか考えます。毎日行っている確認作業を週次にまとめるなど、業務の頻度を見直す方法があります。
③ 自動化できないか
人が毎回同じ判断・入力を行っている場合は、ツールによる自動化を検討できます。
- 定型的な通知
- ステータス更新
- 担当者への割り当て
- 期限前のリマインド
- データ集計
などは効率化を図ろうと考える現場担当者も多いのではないでしょうか。実際、excelで出来る自動化は、すでに行っていることがほとんどかもしれません。
④ 誰でも同じように対応できるか
担当者が休むと対応できない業務は、属人化している可能性があります。手順書だけでなく、受付から完了までの流れを明確にし、担当者が変わっても対応できる状態を目指します。
再発防止では「対策を決める」だけで終わらせない
インシデント対応でありがちな失敗が、
「再発防止策を決めたので終了」
としてしまうことです。重要なのは、決めた対策が実際に実施され、効果があったかまで確認することです。
再発防止は、次の流れで管理すると分かりやすくなります。
原因を特定する
↓
再発防止策を決める
↓
担当者を決める
↓
期限を設定する
↓
実施状況を確認する
↓
効果を検証する
↓
必要に応じて追加対策を行う
例えば「メール誤送信を減らす」という対策なら、「気をつける」ではなく、
「送信前に確認画面を表示する」
「外部宛メールには警告を表示する」
「特定の情報を含むメールは承認制にする」
など、具体的な仕組みに落とし込みます。そして、導入後に実際の誤送信件数が減ったのかを確認します。
インシデント管理を仕組み化するなら、情報を一元管理する
インシデント対応が複雑になる大きな原因の一つが、情報の分散です。
- 発見者はメールで報告
- 担当者はTeamsでやり取り
- 対応状況はExcel
- 原因分析はWord
- 再発防止策は別の資料
という状態では、「今どうなっているのか」を確認するだけでも時間がかかります。
そこで、インシデントごとに一つの管理画面・管理単位を設け、
発生 → 報告 → 担当者決定 → 対応 → 原因分析 → 再発防止 → 完了
までを一つの記録として残す方法が有効です。
最低限、この項目を管理できるようにするとよいでしょう。
- インシデント番号
- 発生日・発見日
- カテゴリ
- 重要度
- 発生部署
- 担当者
- 事象
- 影響範囲
- 原因
- 現在の対応状況
- 対応履歴
- 再発防止策
- 対策担当者
- 対策期限
- 完了日
- 関連資料
これにより、「過去に似たインシデントがなかったか」「同じ原因が繰り返されていないか」といった分析もしやすくなります。
インシデント管理ツールを活用する
インシデントが発生した際、「担当者がメールやチャットで状況を確認し、Excelやスプレッドシートに記録する」といった方法で管理している企業も少なくありません。
小規模なインシデントであれば、この方法でも対応できるでしょう。しかし、複数の部署が関係するインシデントや、同時に複数の事象が発生した場合、手作業での管理では「誰が対応しているのか分からない」「対応状況を追えない」「過去の事例を確認できない」といった問題が起こりやすくなります。
そこで活用したいのが、インシデント管理ツールです。
インシデント管理ツールは、単に発生した事象を記録するだけのものではありません。インシデントの受付から、担当者の割り当て、対応状況の確認、関係者との情報共有、原因の分析、再発防止策の管理まで、対応に必要な情報を一元的に管理できます。
1.インシデントの対応状況を一元管理できる
インシデントが発生したときにまず重要なのは、「何が起きているのか」「現在どこまで対応が進んでいるのか」を把握することです。メールやチャットだけでやり取りしていると、情報が複数の場所に分散してしまいます。
- 発生日時
- 発生した事象
- 影響範囲
- 対応担当者
- 現在の対応状況
- 対応期限
- 原因
- 再発防止策
などを一つのインシデント情報として管理できれば、関係者が同じ情報を確認できます。「担当者に聞かなければ状況が分からない」という状態を減らせることは、インシデント対応における大きなメリットです。
2.対応漏れや放置を防ぎやすくなる
インシデント対応では、発生直後の初動だけでなく、その後の対応を確実に完了させることも重要です。
「原因を調査する」「システムを修正する」「関係者へ報告する」「再発防止策を実施する」といった複数のタスクが発生することがあります。
これらをメールや個人のメモだけで管理していると、対応途中のタスクが埋もれてしまう可能性があります。インシデント管理ツールでは、担当者や期限、ステータスなどを設定して、対応すべきタスクを管理できます。
そのため、「誰が・何を・いつまでに対応するのか」を明確にし、対応漏れを防ぎやすくなります。
3.関係者間で情報を共有しやすくなる
インシデントによっては、情報システム部門だけでなく、総務、人事、営業、法務、広報など複数の部署が対応に関わる場合があります。このようなときに重要なのが、情報共有のスピードと正確性です。
インシデント管理ツールを活用すれば、対応履歴や最新の状況を関係者が確認できるため、「担当者から聞いた話」と「別の部署が把握している情報」が食い違うといった状況を減らせます。
また、重大なインシデントでは、あらかじめ決めたルールに従って関係者へ通知したり、対応チームへエスカレーションしたりする運用も可能です。
4.過去のインシデントを次の対応に活かせる
インシデントは、解決したら終わりではありません。
同じようなインシデントを繰り返さないためには、「なぜ発生したのか」「どのような対応をしたのか」「次回はどう対応するのか」を振り返ることが重要です。インシデント管理ツールに対応履歴を蓄積しておけば、過去の事例を検索して、類似するインシデントへの対応に活用できます。
「以前、同じようなシステム障害が起きたときは、最初にどの部署へ連絡したのか」
「同じ原因のインシデントは過去にも発生していないか」
といった情報を確認できます。
過去の対応をナレッジとして蓄積することで、担当者が変わっても、組織として一定の対応品質を維持しやすくなります。
5.再発防止策まで管理できる
インシデント管理で特に重要なのが、「解決した後」の管理です。
目の前の障害を復旧させることと、インシデントの根本的な原因を解決することは、必ずしも同じではありません。
システム障害が発生した際に一時的な復旧を行っても、根本原因が残っていれば、再び同じ問題が発生する可能性があります。
そのため、インシデントを解決した後に、
原因を分析する
↓
再発防止策を決める
↓
担当者・期限を設定する
↓
対策を実施する
↓
実施結果を確認する
というところまで管理することが重要です。
インシデントとその原因、対応策、フォローアップのタスクを紐づけて管理できれば、「再発防止策を決めたものの、その後の実施状況が分からない」という状態も防ぎやすくなります。
6.インシデントの傾向を分析し、業務改善につなげられる
インシデント管理ツールに情報を蓄積していくと、個々のインシデントへの対応だけでなく、組織全体の傾向を分析することもできます。
- どの種類のインシデントが多いのか
- どの部署で発生しているのか
- 同じインシデントが何度も発生していないか
- 解決までにどの程度の時間がかかっているのか
- 対応に時間がかかっている工程はどこなのか
といった情報を振り返ることができます。
こうしたデータをもとに、「最近この種類のインシデントが増えているから、運用ルールを見直そう」「同じ原因のインシデントが繰り返されているから、根本的な対策が必要だ」といった判断につなげられます。
つまり、インシデント管理ツールは「発生した問題を管理するためのツール」だけではなく、「インシデントから学び、業務や仕組みを改善するための基盤」として活用できます。
ツール導入で重要なのは「管理すること」ではなく「次に活かすこと」
インシデント管理ツールを導入するだけで、インシデントがなくなるわけではありません。
重要なのは、ツールを使って、
「何が起きたのか」を記録する
→「誰が対応するのか」を明確にする
→「現在どうなっているのか」を共有する
→「なぜ起きたのか」を分析する
→「次に起こさないためにはどうするか」を管理する
という一連の流れを組織として定着させることです。ツールはあくまで、そのプロセスを支えるための手段です。
自社に合った運用ルールとあわせて活用することで、インシデント発生時の対応を属人化させず、過去の経験を組織の知識として蓄積し、継続的な業務改善につなげられるようになります。
ツール導入で重要なのは「登録すること」ではない
ただし、ツールを導入するだけでインシデント管理が改善するわけではありません。
重要なのは、「何が起きたら登録するのか」「誰が登録するのか」「どの項目を必須にするのか」「どのレベルなら上長へエスカレーションするのか」を事前に決めることです。
・軽微なトラブル:担当部署で対応
・複数部署に影響するトラブル:管理責任者へ報告
・顧客・個人情報・業務停止に関係する重大インシデント:緊急対応チームへエスカレーション
このルールをツールのワークフローに反映できれば、担当者による判断のばらつきを減らせます。
ツールを活用して「対応」から「改善」までつなげる
インシデント管理ツールを活用するメリットは、単に対応状況を一覧化できることではありません。
① 社員がインシデントを登録
↓
② 内容に応じて担当部署へ自動で割り当て
↓
③ 重要度に応じて責任者へ通知
↓
④ 担当者が対応内容を記録
↓
⑤ 解決後に原因分析を実施
↓
⑥ 再発防止策をタスク化
↓
⑦ 担当者と期限を設定
↓
⑧ 完了まで進捗を管理
という流れを作ることができます。
「トラブルが起きた」→「対応した」
で終わらせるのではなく、
「トラブルが起きた」→「対応した」→「原因を分析した」→「改善した」→「再発していないか確認した」
までを一つの業務プロセスとして管理できます。
ツール選定などの具体的なご相談はお気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。ツール選定から導入、導入後のアフターフォローまでアイテムが一貫してお客様をサポートします。
インシデント管理を始めるための5ステップ
ここまでの内容を整理しましょう。インシデント管理は次の5ステップから始められます。
STEP1:管理対象を決める
まず、「何をインシデントとして扱うのか」を決めます。
システム障害だけでなく、情報漏えい、誤送信、設備トラブル、顧客対応上の問題など、自社で発生し得る事象を洗い出します。
STEP2:対応フローを決める
「発見した人が誰に報告するのか」「誰が判断するのか」「重大な場合は誰にエスカレーションするのか」を決めます。
STEP3:記録項目を統一する
担当者によって記録する内容が違わないよう、最低限必要な項目を決めます。
STEP4:原因と再発防止策を管理する
復旧したら終わりではなく、原因を整理し、具体的な改善策を設定します。
STEP5:定期的に振り返る
インシデントを個別に処理するだけではなく、月次・四半期などのタイミングで、
- 件数が増えているカテゴリ
- 繰り返し発生している問題
- 対応に時間がかかっている問題
- 再発防止策が完了していない案件
などを確認します。
この振り返りによって、個々のインシデント対応を、組織全体の業務改善につなげられます。
「インシデント管理、何から始める?対応状況・原因・再発防止まで整理する方法」まとめ
インシデント管理というと、「トラブルが起きたときに記録するもの」と考えられがちです。しかし、本来重要なのは記録そのものではありません。
何が起きたのかを把握し、適切に対応し、原因を明らかにし、同じ問題を繰り返さない仕組みをつくることがインシデント管理の目的です。
特に近年は、ランサムウェアのように、一つのインシデントが情報システムだけでなく、営業、物流、顧客対応、経理、経営など企業全体に影響するケースがあります。IPAも、インシデント発生時の緊急対応体制や、事業継続・復旧体制を平時から整備することを求めています。
個人情報の漏えい等が発生した場合には、個人情報保護委員会への報告など、法令に基づく対応が必要になる場合があります。個人情報保護委員会は、一定の要件に該当する漏えい等について、速報・確報の報告期限を定めています。
だからこそ、インシデントが発生してから対応方法を考えるのではなく、「何が起きたら、誰が、どのように対応するのか」を平時から決めておくことが重要です。
そして、インシデントを一件ずつ記録するだけでなく、原因や再発防止策まで一元的に管理することで、個別のトラブル対応を組織全体の業務改善につなげられます。
まずは現在、社内で発生しているトラブルを洗い出し、
「どこで起きているのか」
「誰が対応しているのか」
「対応状況を追える状態になっているか」
「同じ問題が繰り返されていないか」
を確認するところから、リスク・インシデント管理を始めてみましょう。
